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食品業界レポート

日本水産株式会社

伊東 玄二 様

 

 JFEシステムズ様のメルクリウスを利用させて頂いており、この度、弊社紹介させて頂く機会を頂きましたこと、厚く御礼申し上げます。

 弊社では、商品の定期的なリニューアルはもちろん、新商品の設計から開発、原材料の安全性確認やパッケージデザインなど、商品を市場へお届けするまでの過程でシステムを利用しています。商品のラインアップは、冷凍食品(家庭用・業務用)、フィッシュソーセージ、魚肉ねり製品、缶詰・びん詰、レトルト加工品、健康食品、機能性食品、水産品(家庭用・業務用)、ギフトなど多様に取り揃えております。アイテム数が幅広く、使用する原材料の数も非常に多いのが現状でして、マイナス18℃以下で保存する冷凍食品、竹輪やカニカマなどチルド温度(10℃以下)で流通する魚肉ねり製品、常温の缶詰・びん詰など、それぞれ賞味期限の長さも異なり安全性を担保する条件も異なります。従いまして、商品を担当する各部署やスタッフが相互に連携し、情報確認と承認作業のステップを繰り返す必要がありますので、システムをカスタマイズして対応頂いているところです。

 さて、弊社は「水産物をはじめとした資源から多様な価値を創造し続ける」という経営基本方針があります。私が入社した1985年弊社は遠洋漁業に携わる洋上加工船(母船、トロール船)を多く有していました。新入社員の私は北洋部に配属となり、助宗鱈や黄金鰈を加工する母船に毎年数ケ月も乗船し、ベーリング海で夏を過ごした経験があります。

 農林水産省の食糧需給表(下図)によると、当時の食用魚介類の供給量は約1100万トン、同自給率は90%という今では想像のつかない時代でした。パソコンも携帯電話、デジカメ、インターネットもまだ世の中に普及していません。その後、200海里問題(漁業専管水域)が強まるなか、水産大国を支えた遠洋漁業は海外からの輸入に事業構造が変化しますが、資源問題を巡る領土・領海の問題は昨今でも鮮明なニュースになっています。一方、食糧資源のグローバル化が進む中、それら加工された商品においては、この30年間で社会的にも環境面でも、そして安全安心とお客様への信頼と言う流れに大きく変化しました。


出所:水産庁ホームページ(H23年度水産白書)より

 食品安全に関しては、フードチェーンの各段階でFSMS(食品安全マネジメントシステム)をいち早く取り入れられた内外の企業が多くあります。食品の衛生な安全の観点の他に、あらゆる危害を想定し対処を図る考え方ですが、昨今はシステムの運用だけでは解決できない問題もあります

 例えば、臭いの問題。日頃食べなれた物とは味や風味が異なる場合、安全性に問題ないとしてもなかなか説明難しく、非常に微量な原因物資が風味や美味しさまでを損なってしまうと言う問題があります。魚や野菜など原料に起因する臭いだったりもします。次に、表示の問題。使用する原材料や成分の安全確認以外にも、パッケージに表示した内容が食品表示の法律に抵触しないかどうかの確認作業が発生します。特に、アレルゲンに関しては、原材料だけでなく、生産設備のコンタミにも注意を払わねばなりません。消費者の視点に立ち、食品表示の法律がたびたび議論されていますが、常に新鮮な情報を捉え反映することが重要な時代になっています。

 様々な食品を取り扱う中では、情報の統一化・迅速化・効率化はシステムに頼らざるを得ません。食品業界として取り組む課題も大きいのではないでしょうか? 反対に、私ども食に携わる者にとりましても、人間的なニュアンスをもっとシステムに埋め込むことで、本当に安心して食べて頂くための仕組みができれば良いと思っています。

日本水産 伊東

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