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食品業界レポート

全国マヨネーズ・ドレッシング類協会

小原 勉様

 

マヨネーズ・ドレッシングの基礎知識

1.マヨネーズとドレッシングはどう違うの?

 協会の名前がマヨネーズ・(中ポツ)ドレッシング類となっていることから、マヨネーズとドレッシングは別物と思っておられる方が多いようです。確かに見た目は、マヨネーズは粘り(とろみ)があり、ドレッシングは液状です。しかし、法令上の定義ではマヨネーズもドレッシングの1種なのです。

ドレッシングは英語のDressからきており、「衣服を着せる」とか「飾る」とかの意味があります。野菜などにかけるドレッシングがいつ頃作られたのか、定かではありませんが、ものの本によりますと、18世紀初頭にはすでに料理の中にドレッシングがあったようです。ここで、ひとつアメリカのユーモラスななぞなぞをご紹介します。「マヨネーズが冷蔵庫に恥ずかしそうに言いました。さて何と言ったでしょう?」答は、「Please close the door ,I'm dressing.」おそまつでした。

2.マヨネーズとドレッシングの歴史

マヨネーズは、明治時代にフランス料理とともに日本にもたらされました。日本で初めてマヨネーズを製造・販売されたのは現在のキユーピー㈱の創始者の中島 董一郎氏で、1925年(大正14年)のことでした。マヨネーズの名前の由来については諸説ありますが、18世紀半ば、フランスの偉い軍人がスペインの東側の地中海に浮かぶメノルカ島(現スペイン領(淡路島より少し大きい))のマオンという港町で、「オリーブ油と卵黄とレモン汁」を混ぜたソースをかけた肉料理を食したところ、大変おいしかったためそのレシピをパリに持ち帰り、これがその後、ヨーロッパ、アメリカ等へ普及したとの説が有力です。もともとの語源はマオンのソースで、これが仏語で「マオンネーズ」、英語で「マヨネーズ」になったようです。

戦前は高級品でしたのでそれほど生産量は多くなかったのですが、戦後の高度経済成長期にはいわゆる食の洋風化に伴い飛躍的に生産・消費が伸びました。家庭用のドレッシング(フレンチドレッシング)が日本で始めて登場したのは1958年(昭和33年)で、マヨネーズよりだいぶ後のことです。その後、サウザンアイランド、イタリアン、シーザーサラダ等の様々な特徴をもったドレッシングが続々と登場しました。ノンオイルドレッシングが登場したのは、1987年(昭和62年)です。

3.ドレッシングとドレッシング類の定義

 「ドレッシング」とは、食用植物油脂と食酢又はかんきつ類の果汁を主原材料(必須原材料)として、食塩、砂糖類、香辛料等を加えて調製し、水中油滴型に乳化した半固体状若しくは乳化液状の調味料又は分離液状の調味料であって、主としてサラダに使用するものです。

 「ドレッシング」は、この4月に施行されました食品表示法に基づく食品表示基準で定義されており、大きく3つに分けられます(従来のJAS法に基づく「日本農林規格(JAS)」及び「ドレッシング及びドレッシングタイプ調味料品質表示基準」を継承)。

 1つ目は、「半固体状ドレッシング」といって、固体でも液体でもない一定の粘度(とろみ)をもったものです。この半固体状ドレッシングは、さらに①「マヨネーズ」、②「サラダクリーミードレッシング」、③「①及び②以外の半固体状ドレッシング」の3種類に分けられます。マヨネーズは、食用植物油脂等の必須原材料以外に使用できる原材料が限られ、また食用植物油脂の重量割合は65%以上占めること等が定められています。サラダクリーミードレッシングやその他の半固体状ドレッシングは、使用できる原材料や食用植物油脂の重量割合が異なります。これらは、カロリーをカットしたものや特定の風味付けをしたもので、マヨネーズタイプ調味料とかマヨネーズ風調味料と呼ばれています。見た目はマヨネーズに似ていますので、マヨネーズの1種と思われている人が多いのですが、異なるものです(商品の裏面の一括表示の名称をご覧ください。)。2つ目は「乳化液状ドレッシング」、3つ目は「分離液状ドレッシング」です。

 このドレッシングに、「ドレッシングタイプ調味料」(食用油脂を使用していない、いわゆるノンオイルドレッシング)と加工油脂等を使用した「サラダ用調味料」の2つを含めて、「ドレッシング類」と称しています。

4.マーケットの動向

 最後にマヨネーズ・ドレッシング類のマーケットの動向をご紹介します。

1960年代、70年代のいわゆる高度経済成長期には生産量は毎年二桁の伸びで増加しました。2000年頃を境に横ばいないし微増となっていますが、ドレッシング類の中身が大きく変化しております。平成の時代に入ってからの特徴としては、消費者の健康志向、多様な食生活を楽しむといった志向が次第に強まり、マヨネーズの持つ「うま味・こく味」を維持しながらカロリーを低減した健康訴求型のマヨネーズタイプやサラダだけでなく肉や魚料理に合う様々な種類のドレッシングが登場し、ノンオイルドレッシングも増加しています。また、最近では消費者の簡便志向に対応した粉末タイプのものも登場しています。

日本の伝統的な調味料が苦戦を強いられているなかで、日本のマヨネーズは独自の発展を遂げ、和洋中を問わず利用範囲が拡大しています。サラダだけでなく、お寿司やおにぎり、チャーハン、ホットケーキ、焼きそば、パン、スナック菓子等とその利用場面は多方面にわたり、万能調味料として定着しております。また、耐冷凍性と耐熱性を兼ね備えた加工用マヨネーズが開発されるなど冷凍食品の需要増加にも貢献しております。

世界に目を向ければ、植物油脂や関連する食料品の需要はまだまだ増加することが見込まれます。一例ですが、ハンバーガーショップは新興国にどんどん展開されています。ハンバーガーとマヨネーズは補完関係にありますので、世界的にはマヨネーズの消費はさらに増えていくと見られます。また、野菜の生食も増えていけば、サラダ需要の増大で、ドレッシングの消費も増加すると見られます。

全国マヨネーズ・ドレッシング類協会 小原

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